Stitching Commons -刺繍ワークショップ-   2018.5@大阪 Calo Bookshop&Cafe                 

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Stitching Commons

日時: 2018.5.25                              場所 : Calo Bookshop&Coffee (大阪)

アーティスト:Michael Leong (デザイナー・アーバンファーマー)    企画協力:内山幸子 

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香港のアーバンファーマー/デザイナーのマイケル・ルン(Michael Leong)は、2015年からシャンスイポー地区にある布市場「パンジャイ」の再開発・移転問題にデザイナー/アクティビストとして関わっている。50年ほどの歴史を持つパンジャイは、昔から香港の服飾/裁縫用の布を安価に供給してきた卸問屋街だが、政府の再開発計画によって店主らの同意なしに移転計画が進められようとしている。

香港のひとびとの暮らしが政府による政策、巨大ビジネスによって追いやられていく現状に対して、マイケルは自らのデザイン・スキルを媒介にして、市場の歴史や再開発の問題をわかりやすく伝達するインフォグラフィック、冊子、また市場の布を使ったハンカチづくりなどを行なうことで、店主、移転先に住むホームレスコミュニティ、近隣住民という異なる立場のひとびとがこの再開発問題を共通の問題として考えていくための「共通の場」をつくりだし、大きな力に対して自分たちの権利を守るための声を可視化することを試みている。

今回、Caloでの「ハンカチ刺繍ワークショップ」は、解体された住宅の古材でイス、ベンチをつくり、ギャラリースペースを香港の「路上」に見立てつつ、パンジャイの布で作られたハンカチに刺繍をするワークショップを開催した。ハンカチを「自分と社会を結びつけるメディア」として捉え、そこに参加者がそれぞれ「誰かと共有するための」メッセージ、図柄を考え刺繍にして表現し、出来上がった刺繍をパンジャイの地図や写真とともに展示している。

ワークショップ中は、手を動かしながら隣に座ったひとたちと言葉をかわしたり、それぞれの作品を見せあったりしながら、普段とは異なる場所の使い方、時間の過ごし方が生まれていた。昔の路上のように異なるコミュニティやひとびとが出会い、一緒に何かを作り出すための場をつくることで、遠い香港での人々の暮らしや問題を自分たちの暮らしのなかで捉え直し、共有できる機会になればと考えている。